モリンガとは

What is MORINGA

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モリンガ(和名:ワサビノキ)は、可食植物の中で最も栄養価が高いといわれる植物です。

モリンガには、ヒトのからだに必要不可欠な3大栄養素(たんぱく質、炭水化物、脂質)に加え、ビタミン(11種)、ミネラル(9種)、必須アミノ酸(9種)と非必須アミノ酸、さらにGABA やβ-カロテン、ポリフェノールや食物繊維も豊富に含まれています。近年の研究では、モリンガに90種類以上の栄養素が認められており、世界保健機構(WHO)や国際連合食糧農業機関(FAO)は、発展途上国の慢性的な栄養不足の改善に、モリンガの植樹を推奨しています。

モリンガの産地は、インド北部を原産に、アフリカ大陸、東南アジア、南アメリカなど広く分布しています。インド・スリランカで発祥した世界最古の伝統医学「アーユルヴェーダ」では、モリンガは 300もの疾病の治療や予防に役立つとされ、モリンガが育つ他の地域でも、葉や種油など余すことなく使える植物として「ミラクルツリー(奇跡の木)」「マルチパーパスツリー(万能の木)」などと呼ばれています。

モリンガの「葉」

モリンガの部位の中で最も栄養価が高い「葉」は、ビタミンやミネラル、たんぱく質、食物繊維、ポリフェノールなどが豊富で、アミノ酸もバランスよく含まれています。このため、アフリカの一部地域では食糧支援にモリンガが活用されていたり、授乳中の母親の栄養補助食品としても利用されています。また、近年イタリアで行われた研究で、モリンガの葉の粉末が、食後の急激な血糖値の上昇を抑えるという結果も報告されていることから、モリンガの葉はGI値の低い食品であるといえます。

モリンガの「種油」

モリンガの種は3040%が油でできており、この種から採取された油脂を「ベンオイル」といいます。ベンオイルは、古代ローマやエジプト文明の時代から、食用やスキンケアなどで重宝されてきたそうです。ベンオイルの脂肪酸組成は、オリーブオイルと同じように、血液中のコレステロール増加を抑える不飽和脂肪酸の「オレイン酸」が約70%を占めています。また、乳化作用で水分を肌に効率よく導く「ベヘン酸」が約5〜7%、肌に浸透しやすくオイルの栄養素を届ける役目を果たす「パルチミン酸」も約5〜6%含まれています。さまざまな効果をもつ脂肪酸が豊富であることから、スキンケアやヘアケアでも注目されています。

 

モリンガで叶う、健やかなからだ

モリンガの「ミネラル」

カルシウム

モリンガには多くのカルシウムが含まれています。カルシウムは骨や歯の形成や維持に不可欠な栄養素であり、閉経後の女性や高齢者に多発する骨粗しょう症の予防にも、十分なカルシウム摂取は欠かせません。カルシウムを摂り始めてすぐに骨が丈夫になるわけではないので、カルシウムの減少が始まるとされる30代後半からは、モリンガを日常食に取り入れることをおすすめします。

鉄を含む植物性食品は多くありますが、植物性食品に含まれる鉄の多くは「非ヘム鉄」で、これは同じ植物に含まれるタンニンによって、吸収を阻害されてしまうというデメリットがあります。しかしモリンガはタンニンの含有量が少ないため、鉄を効率よく摂れます。モリンガパウダーやタブレット、モリンガ茶を日常に取り入れたこまめな鉄補給は、貧血予防に期待できます。

カリウム

ナトリウムの排出や血圧低下を促すはたらきをするカリウムは、塩分濃度が高い食生活において、高血圧予防に積極的に摂るべき栄養素です。トマトなどにもカリウムは多く含まれていますが、カリウムは水溶性で、調理時に水分と一緒に流れ出てしまうことが多いため、モリンガ成分100%を余すことなく摂れるパウダーやタブレットのほうが効率的です。

マグネシウム

他の栄養素に比べると、マグネシウムは積極的に摂ろうとする人は少ないかもしれません。しかしマグネシウムを積極的に摂ることで、高血圧症や心疾患などの予防になる可能性が得られています。マグネシウムは骨に弾性をもたらすと同時に、神経の興奮・伝達や、筋肉の収縮にも関与しています。マグネシウムもカリウムと同様に水溶性のため、モリンガパウダーやタブレットでしっかり摂りましょう。

亜鉛

亜鉛は貝類に多く含まれる栄養素ですが、モリンガにも含まれています。日本人の亜鉛の摂取状況(平成29年国民健康栄養調査)は男女とも十分とはいえませんが、亜鉛は、抗酸化作用や免疫力向上、美肌、美髪効果にも効果的なミネラルです。新しい細胞を作るときに欠かせないDNAの合成酵素や、タンパク質を作るために必要なRNA合成酵素に、十分な亜鉛が必要です。

モリンガの「ビタミン」

ビタミンE

ビタミンEは強い抗酸化作用を示すビタミンで、認知機能の維持や歯の健康維持を支えます。ビタミンEは、いわゆる悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の酸化を抑制するはたらきもあるため、コレステロール値が気になる人にも毎日のモリンガ摂取が適しています。

β-カロテン

緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテンは、食べて吸収した後にビタミンA に変換し、粘膜を正常に保ったり、免疫細胞のはたらきを活発にしてくれます。β-カロテンは抗酸化作用が高く、生体内の活性酸素による酸化を抑制することで、組織の老化を予防してくれる特徴があります。モリンガには、β-カロテンが非常に多く含まれています。

ビタミンB1

疲れやすい、ダルい、朝が起きにくいという人は、ビタミンB1不足の可能性があります。英気を養おうとビタミンB1を多く含むニンニクを食べる人もいますが、モリンガならニオイの心配もなくたっぷりビタミンB1を摂ることができます。不調を感じてからサプリなどでビタミンB1を補うよりも、毎朝のヨーグルトにモリンガパウダーを混ぜるなど、日々の習慣で強いからだに。

ビタミンB2

体内で糖質や脂質を分解してエネルギーを得る反応の中で、ビタミンB2を必要とする酵素があります。そのため、ビタミンB2が不足すると十分なエネルギーが得られなくなり、皮膚や細胞の代謝も滞ります。ビタミンB2は水溶性の性質で体内に保持することができないため、無理なく続けられるモリンガ食品で補いましょう。

ビタミンB6

ビタミンB6は、生体内でアミノ酸の代謝に欠かせない酵素です。モリンガにもビタミンB6が多く含まれています。からだに入ったたんぱく質が分解され、それを材料に新たなたんぱく質が作られるというサイクルを円滑にするのがビタミンB6のはたらきであり、ビタミンB6はたんぱく質を多く摂る人ほど必要な酵素といえます。

食物繊維

食物繊維は、日本人に不足しがちな栄養素のひとつです。食物繊維には、腸のぜん動運動を活発にする不溶性と、腸内の吸収を緩やかにする水溶性があり、モリンガにはそのどちらも含まれています。便通を促す不溶性食物繊維、ブドウ糖やコレステロール、ナトリウムなどの吸収をゆるやかにしてくれる水溶性食物繊維ともに豊富に含まれるモリンガは、生活習慣病が懸念される現代の食生活の改善に適しています。

たんぱく質

代謝や免疫機能にはたらきかけるたんぱく質は、必須アミノ酸(9種)と非必須アミノ酸(11種)で組成されています。精白米や小麦など常食する植物性食品のたんぱく質はこの必須アミノ酸のバランスが悪いのですが、モリンガの葉の粉末に含まれる必須アミノ酸の含有量とバランスは、世界保健機構(WHO)などが2007年に発表した、必須アミノ酸の推定平均必要量をほぼ満たしています。

GABA

GABA(ギャバ)とは、「γ-アミノ酪酸」の略称です。血圧の降下作用や抗ストレス作用を促すものとして、近年は高機能性表示食品にも多く使われています。モリンガの葉には多くの栄養素が確認されていますが、なかでもGABAの含有量は、1986年に農林水産省で開発された「ギャバ高含有茶」より多いという結果が出ています。この葉を焙煎したモリンガ茶は、ノンカフェインで優しい味わいです。

ポリフェノール

抗酸化物質であるポリフェノールが非常に多く含まれているという点は、モリンガの特徴のひとつです。モリンガのポリフェノールを組成する成分の中でも、ルチンは高血圧の予防や毛細血管の強化にはたらきかけ、クロロゲン酸は抗酸化作用でストレスなどから生じる活性酸素からからだを守ってくれます。

 

参考文献

栄養学の研究者が 臨床試験データで解説する
「モリンガの実力」実証されたモリンガの11の効果
本 三保子 著
発売:ダイヤモンド社